肺がんに対する治療は、肺がん細胞のみならず、同時に正常な細胞も障害を受けることは避けられませんので、副作用・後遺症を伴います。
肺がんも同様であり、特に、小細胞がんは急速に進行し致命的になりうるので、この病気に対する治療は強力に行う必要があり、そのため副作用も強くあらわれることがあります。
医師はできるだけ副作用を軽減すべく努力していますが、肺がん治療に伴い種々の副作用があらわれることがあります。
1)肺がん外科療法、肺がんを切除した結果、息切れや、手術後半年~1年間の創部痛を伴うことがあります。そのため肺がん手術後はライフスタイルをかえる必要のある場合がまれにあります。
2)
肺がん放射線療法、肺がん放射線療法の主な副作用は、放射線による一種の火傷(やけど)で、放射線治療中及び治療の終わりころから症状が強くなる肺臓炎、食道炎、皮膚炎です
。肺臓炎の初期症状は、咳・痰の増加、微熱、息切れです。
肺臓炎の治療には、ステロイドホルモン剤を使用する場合があります。
炎症が強く出た場合、長い間咳や息切れが続くことがあります。
胸のレントゲン写真では、黒く写っていた肺が白くなり、侵された肺は小さくなります。
これを放射線肺線維症(はいせんいしょう)と呼びます。
食道炎の症状は、特に固形物の通りが悪くなり、強い場合は痛みを伴います。
食道炎に対しては、放射線治療の延期・中止を行い、痛みを伴う場合は食事・飲水制限をして、痛み止め剤の服用や栄養剤の点滴静注をします。
かゆみを伴う皮膚炎(発赤や皮がむける)に対しては、軟こう剤を使用します。
3)肺がん抗がん剤による化学療法 、
肺がん抗がん剤による副作用は、用いる抗がん剤の種類によって異なり、発現頻度・程度にも個人差があります。
副作用は自分でわかる自覚的なものと、検査などによってわかる他覚的なものに大別されます。
自覚的な副作用には、吐き気・嘔吐、食欲不振、口内炎、下痢、便秘、全身倦怠感、末梢神経障害(手足のしびれ)、脱毛などがあります。
他覚的な副作用には、白血球減少、貧血、血小板減少、肝機能障害、腎機能障害、心機能障害、肺障害などがあります。
その他、予期せぬ重篤な副作用があらわれ、まれに命にかかわることもあります。
白血球減少が高度な場合、易感染性による感染症の合併を防ぐため、白血球増殖因子(G-CSF)と呼ばれる遺伝子工学でつくられた白血球を増やす薬を皮下注射することがあります。
貧血、血小板減少が高度な場合、まれに輸血を行うこともあります。
主に抗がん剤の投与日から数日間にわたってあらわれる吐き気・嘔吐に対しては、吐き気止めの薬を点滴静脈注射します。
脱毛、末梢神経障害に対する効果的な治療法はいまだ開発されておりません。
これらの副作用の大半は一時的なものであり、脱毛、末梢神経障害を除き、治療開始後2~4週間で回復します。